みなと元町の乙仲通りにあるカフェで、前を通った時にすごくおしゃれで好きな雰囲気だなと気になっていた、School Bus Coffee Stopというカフェに行ってみました。
雰囲気はとても良いのですが、おしゃれすぎて入りにくい気がしていました。今回思い切って店内に入ります。光の加減で白っぽくなって申し訳ないのですが、外観の写真です。全体的に黒で統一された感じで、個人的に好きな雰囲気です。ホームページがあったので、見てみると、リノベーション会社が経営しているカフェらしいです。どうりで、と思いました。大阪や京都にも店舗があるようですね。

店員さんがすごくこだわりがあったり、話しかけてきたりする感じかなと思って少し身構えていましたが、特にそんなことはなく、スタバのような普通のカフェの対応で落ち着いてくつろげました。昼頃に行ったのですが、School busプレート(1100円)というトーストとベーコン、サラダといったプレートを頼みました。ランチのつもりでしたが、思ったよりかなり量が少なく、後で気づいたのですがモーニングメニューでした。おしゃれで、トーストはスクールバスの形をしています。

味も美味しかったのですが、量に対してかなり割高な感じは、やはりしてしまいます。コーヒーの味は普通に文句なく美味しいです。
お店の中の雰囲気は落ち着いていて、内装や全体の黒で調和がとれた雰囲気は最高レベルではないかと思います。自分がもしもカフェを持つとしたらこんな感じを目指したいなと思いました。音楽はジャズっぽい曲が流れていました。そのうち1曲はよく聞くと、Joni MitchellのBig Yellow Taxiをジャズにアレンジしたものでした。
やや高めのメニューでしたが雰囲気は最高なので、全体としては空間を楽しむカフェということで、とても良いと思います。持ってきていた本を読みながらゆっくりさせてもらいました。オリバーサックスという脳神経科の医師である作家の書いた「火星の人類学者」という本です。様々な脳の障害を負った患者のことを書いたエッセイで、どれも衝撃を受けるような内容で、考えさせられます。巻頭に引用されている言葉が、”宇宙は、われわれが想像するよりも奇妙などころか、想像も及ばないほど奇妙である。” (J.B.S. ホールデン)で、まさしくと思います。

この本は、私は研究室時代に読んだのですが、当時は精神的な余裕があまりなかったので、今落ち着いて読むと当時より豊かに内容を読み取ることができました。最初の患者が、事故で後天的に色盲になった画家の話です。色の中枢が脳に存在し、その部位の障害で色盲になるという比較的近年になり分かってきた解剖学的考察もあります。色の情報が脳でどのように処理されているかという問題は、AIで画像を生成できるようになった現在では、また違った形で考察できることがあるのかもしれないと、ふと思いました。
単純に白黒の世界に生きているというのでは理解しにくいものらしく、色という概念自体も、その人の中で失われていく様子なども描かれていて、脳の損傷で世界のとらえ方が大きく変化するという驚異を感じることができます。また、その画家が絶望し、生きているのさえ嫌になるところから、色の無い世界での芸術に対する情熱を取り戻していく、再生の過程も書かれています。人の脳が喪失から変化に適応し、生み出していく新しい自我についてが本書のテーマでもあるようです。
昔読んだときには、2話目の「最後のヒッピー」が最も心に残っていたのですが、今読み直してもやはり優れたエッセイで、映画にもなりそうな話だと思いました。腫瘍により脳が破壊され、深刻な自我の変容を伴い、記憶も2分も持たない患者です。普段はほとんど精神活動が無いようにも見える患者が、音楽を聴いたり音楽の話をしているときには活発さを取り戻し、完全に正常な人間のように見えるというのは驚きだと思います。人間の自律的な精神活動は実は外部の刺激の助けを必要としているのかもしれません。
記憶力を失ったことで、過去から未来への連続性を失った世界を生きている患者の生活には、人生の意味を考えさせられるものがあると思いました。患者が、父親がすでに亡くなっていることを知らされた時の悲しみや、グレイトフル・デッドのコンサートに連れて行ってもらった時の興奮と喜びはまさしく本物だと思いますが、それらの記憶もすぐに失われてしまいます。そうだとしたらその時の喜びや悲しみに意味は無いのか?と考えてしまいます。ここまで極端ではなくても、年を取り、脳が衰えると、記憶が無くなりやすくなることは普通の人でも起きるのではないでしょうか?その瞬間瞬間の喜びや悲しみも意味のあることだと思いたい気もしましたが、自分の中では答えが出ませんでした。
本の説明が長くなってしまい、申し訳ないのですが、とても雰囲気の良いカフェで落ち着いて読書できて満足し、店を後にしました。近くを訪れて時間がある際にお勧めしたいです。


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