【雑記】スペシャルティコーヒーの香り成分の研究(ベンチ・マジ、イルガチェフェ、バオサン)

コーヒーの香りについて、科学的にはどう研究されているのか気になり、最近の論文を探して読んでみました。Foodsという雑誌に、2025年9月13日づけでIdentification of Key Aroma-Active Compounds in Commercial Coffee Using GC-O/AEDA and OAV Analysisという論文(Foods 202514(18), 3192)が出ており、香り成分の研究がされていて面白いと思ったので、紹介させてもらいます。

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この論文ではコロンビアコーヒーと、スペシャルティコーヒーとしてベンチ・マジ、イルガチェフェ、バオサン(雲南省保山のコーヒー)を選び、それらに含まれる香り成分を抽出して、ガスクロマトグラフィーで各成分に分離し、質量分析による特定を行っています。

結果として132種類の成分が特定され、そのうち67の成分は4種類のコーヒーに共通だったそうです。どう思われるでしょうか?意外に多い、それとも少ないでしょうか?微妙な数ですね。それらの成分は、化学的にはフラン、ケトン、ピラジン、酸、ピロール、ピリジン、フェノール、エステル、アルコール、その他に分類されるものでした。

それらの中でも実際に香りに寄与していそうな成分がいくつかあり、4種類に共通して最も香り成分として強いのが4-ビニル-2-メトキシフェノールだそうです。これはコーヒーのスモーキーな香りを出す成分で、4種類の中で最も多く含んでいるのはコロンビアだったそうです。そして、イルガチェフェにだけ特徴的に含まれていたのは2-エチル-3,5-ジメチルピラジンだそうでした。これはローストされたような香りに影響しているようです。

さらに17種類の主要な香り成分を組み合わせて、コーヒーの香りを再現するという研究もされていました。ただし、完全には香りを再現できなかったようで、スモーキーな香りやローストの香り、木のような香りは実際のコーヒーより弱くなってしまいました。実際のこれらの香りには、もっと多くの成分が関与していそうです。

さらには、この再構築した香りから、特定の成分を除いてみることで、香りの構成成分として重要な要素を探索しています。その結果、コロンビアの香りに最も大きく影響しているのは2,3,5-トリメチルピラジンで、ベンチ・マジの香りに最も大きく影響しているのは2-エチル-6-メチルピラジン、イルガチェフェの香りに最も影響しているのは2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、そしてバオサンの香りに最も影響しているのはフラネオールとグアヤコールでした。

これらの影響について、2,3,5-トリメチルピラジンはコロンビアのチョコレートやナッツのような香りに影響しているという言及がありました。また、ベンチ・マジのフローラルでフルーティーな香りに影響している成分として他にリナロールがあったそうです。バオサンには、フラネオールとグアヤコールが木のような香りやカラメルの香りを与えているようです。

ただし、この特定の成分を除去してみる試験で取り除いても大きく変化しなかったものでも、含有量からするとその香りの影響はあるはずで、他の香り成分と重複しているために一見効果がないように見えている可能性もあるようです。複雑ですね。

読んでみた感想として、実際にコーヒーの香りの違いをこうやって成分を特定して調べられるのは面白いなと思いました。実際に特定の豆でだけ含まれている香り成分もあるようなので、スペシャルティコーヒーは確かに価値があるのかもしれませんね。ローストの具合でも成分に変化があるようなので、コーヒー会社は最適なロースト条件を決めるために、こういった定量的な香り成分の研究もしていたりするのかなあと思いました。

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